オランダでビジネスを始めることは、ヨーロッパでの起業を考える方にとって非常に魅力的です(オランダへのビジネス拡大のメリットに関してご参照ください)。通常、海外での起業には高額な出資が求められたり、現地の雇用を生み出すことが期待されたり、事業計画が厳格に審査されることがあり、ハードルが高いと感じる方も多いはずです。
オランダは日本人が起業して移住するのに非常にハードルが低い国の一つとなっています。1912年に締結された日蘭通商航海条約(The Treaty of Trade and Navigation between the Netherlands and Japan)に基づき、日本国籍保有者には特別な優遇措置が与えられており、point-based assessmentによる審査は不要となっています。この特権を利用して、オランダで個人事業主として起業する日本人は増えています。
日蘭通商航海条約とは?
日蘭通商航海条約は、1912年に日本とオランダの間で締結された協定で、通商航海の自由と最恵国待遇を約束とする条約であります。この条約に基づき、日本国籍保有者はオランダで起業しやすく、ポイント制度の影響を受けずに長期滞在が可能です。この特権を活用して個人事業主ビザを取得する日本国籍保有者のご家族もオランダでの就労が可能となっています。日蘭通商航海条約は、双方の経済的な協力を促進し、両国の友好的な関係を反映した重要な法的枠組みです。
日蘭通商航海条約によって得られるメリット
日蘭通商航海条約に基づいた個人事業主ビザによって様々なメリットが得られます。
幅広い事業の選択が可能
日蘭通商航海条約に基づいた居住許可は多岐にわたる事業・職種に適用されます。
個人事業主ビザ取得者の家族にも様々なメリット
起業家の家族に対して労働許可が不要とされ、オランダでの就職が可能です。
オランダの個人事業主向けの税控除が利用可能
個人事業主ビザを取得したら活用できる控除が数多くあります。
幅広い事業の選択が可能
日蘭通商航海条約に基づいた居住許可は多岐にわたる事業・職種に適用されます。
- 教師、インストラクター
- コンサルタント
- 翻訳や通訳
- 音楽関連の仕事
- スポーツ関連の仕事
- IT関連の仕事
- アーティスト
- 飲食業
- クリエティブ関連の仕事
- エステや美容関連の仕事
- 物品輸出入
- EC事業
- ベビーシッター
など幅広い分野での個人事業主ビザの取得が可能です。
ただし、医者、獣医師、税理士、弁護士、公証人、建築士など専門的な職業に関して、オランダ国内で該当資格を取得しない限り、個人事業主ビザでの居住許可が認められないこととなっています。
個人事業主ビザ取得者の家族が得られるメリット
個人事業主ビザを取得した場合、家族にも優遇があります。日蘭通商航海条約に基づいた個人事業主ビザが承認されると、起業家とその家族は居住許可を取得できます。また、起業家の家族に対して労働許可が不要とされ、オランダでの就職が可能となっています。アルバイトから正社員まで様々な形で働けます。
オランダの物価が高い中、起業家の収入のみに頼ることなく、夫婦で働くことで経済的な負担が軽減され、事業が安定するまでのサポートが期待できます。
オランダの個人事業主向けの税控除が利用可能
オランダで個人事業主が活用できる控除が数多くあり、個人事業主ビザを取得したら以下のような税金控除を利用することが出来ます。
- 個人事業主控除(zelfstandigenaftrek): オランダで起業家として所得税を納めている場合、個人事業主控除 (zelfstandigenaftrek) の対象となります。これにより課税所得が減額されます。
- 新会社の税額軽減(starteraftrek):新規事業に対する個人事業主控控除 (zelfstandigenaftrek) の増額である。
- 小規模企業制度(kleineondernemersregeling):小規模事業の適用を受けると、付加価値税 (VAT) が軽減されます。
- 中小企業利益控除(MKB-winstvrijstelling):中小企業に対して認められる控除です。この控除は、事業に従事する時間数と関係なく適用されます。利益から上記の控除を差し引いた後、起業家はさらに14%の税控除を受けることができます。
オランダで個人事業主ビザを取得するための条件
日蘭通商航海条約を活用し、個人事業主ビザを取得し、移住するたまには、以下の4つの条件があります。
- 日本国籍保有者であること
- オランダで事業を行うこと
- オランダ商工会議所(KvK)にて事業登録を行うこと
- 自身の事業に4500ユーロ以上を資本金として投資すること
オランダ個人事業主ビザの申請手順
オランダ個人事業主ビザの申請手順は一般的に次のような流れになります。
日本での準備
- アポスティーユ承認付きの戸籍謄本または戸籍抄本を取得する。
- 日本の銀行に資本金(4,500ユーロ以上)を用意し、銀行口座の英文残高証明を作成する。
- パスポートや航空券などの必要な書類を用意し、家を借りるまでの宿泊場所を手配する。
オランダに入国後の手続き
1. アポスティーユ承認付きの戸籍謄本または戸籍抄本を在オランダ日本大使館で翻訳してもらい、それをオランダ外務省でリーガライゼーションをしてもらう。
2. オランダ移民局 (IND)に必要な書類を提出し、仮滞在許可を取得する(事前予約が必要)。
オランダ移民局 (IND)に提出する書類
- リーガライゼーションされたアポスティーユ承認付きの戸籍謄本または戸籍抄本
- ビザ申請書(こちらからダウンロード可能)
- 銀行口座の英文残高証明(コピー)
- ビジネスプラン(コピー)
- パスポートのコピー
- ビザ申請料
3. オランダで家探して賃貸契約書を取得し、住所を決める。
4. 住所のある市役所で住民登録を行い、住民登録番号(BSN)を取得する(事前予約が必要)。
市役所に提出する書類
- リーガライゼーションされたアポスティーユ承認付きの戸籍謄本または戸籍抄本
- 賃貸契約
- 一時滞在許可証ステッカー(パスポート)
- First registration申請用紙(お住いの市役所のウェブサイトからダウンロード可能)
5. オランダ商工会議所 (KvK)にて事業登録を行い、商工会議所番号(KvK-nummer)を取得する(事前予約が必要)。
オランダ商工会議所 (KvK)に提出する書類
- ビジネスプラン
- 申請書
- パスポート
- 賃貸契約書
- 住民登録番号(BSN)
- 申請料
6. ビジネス口座を開設し、資本金として4,500ユーロ以上を入金する。
7. オランダ移民局 (IND)に追加書類(住民登録番号(BSN)、商工会議所番号(KvK-nummer))を提出し、個人事業主ビザを取得する(事前予約が必要)。
オランダ個人事業主ビザを更新するための条件
オランダの個人事業主ビザでは、最初2年間の居住許可が認められます。2年後に事業が活動中でかつ口座に4500ユーロの資金が残っている場合、さらに5年間のビザ延長が可能です。言い換えれば、ビジネスが売上や利益を上げているかどうかにかかわらず、アクティブで銀行口座に4500ユーロの資金があれば、ビザの延長が申請可能です。
オランダに5年間継続して滞在し、必要な条件を満たせば、EUの永住権の申請も可能となります。
まとめ
オランダでのビジネス展開が魅力的な選択肢とされる中、日蘭通商航海条約に基づく個人事業主ビザは、日本人にとって低いハードルでの移住を可能にしています。この条約により、日本国籍保有者はオランダでの起業が容易となり、ポイント制度の審査を受けずに滞在できます。ビザ取得者の家族も優遇され、オランダでの就労が可能です。また、税制面でも個人事業主には優遇があり、税金控除などが適用されます。ビザ取得にはいくつか条件があり、申請手続きも必要ですが、これにより多岐にわたる事業が可能となります。個人事業主ビザは最初に2年間の有効期限があり、その後も条件を満たせば5年間の延長が可能。5年継続滞在後はEUの永住権の申請も可能です。
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