オランダは、そのビジネスフレンドリーな環境と国際的なアピール力で、多くの企業や事業者にとって魅力的な会社設立の場所となっています。オランダの会社設立手続きは比較的簡単で効率的であり、国際的なビジネス展開に最適な法的枠組みを提供しています。この記事では、オランダでの会社設立の手順と必要なステップについて、詳細に解説していきます。
オランダでの事業形態の選択
オランダでビジネスを始める前に、どのような事業形態で会社登記を行うか事前に決める必要があります。事業形態により、税務上の要件や活動範囲が変わりますので、各事業形態の特徴をよく理解した上で選択することをお勧めします。
オランダでは一般的には以下のような事業形態があります。
- 個人事業主（Eenmanszaak）
- 非公開有限責任法人（Besloten Vennootschap, bv）
- 公開有限責任法人（Naamloze Vennotschap, nv）
- ジェネラル・パートナーシップ（Vennootschap onder Firma, vof）
- リミテッド・パートナーシップ（Commanditaire Vennootschap, cv）
- 財団法人（stichting）
- 協会 （vereniging）
- プロフェッショナル・パートナーシップ （maatschap）
- 協同組合（coöperatie）
日本からオランダに進出される企業や事業者の中で、個人事業主（Eenmanszaak）、非公開有限責任法人（Besloten Vennootschap, bv）または公開有限責任法人（Naamloze Vennotschap, nv）が選択されることが多いかと思いますので、簡単にご紹介します。
個人事業主（Eenmanszaak）
一人の人物が全ての責任を負いながら会社を所有する形態であり、「フリーランサー」や「ZZP-ers」として働く人々にとって最もよく見られる事業形態です。
非公開有限責任法人（Besloten Vennootschap, BV）
「BV」は最低資本金が0,01ユーロである株式会社のことを指します。「BV」は「NV」と比べて比較的簡単に設立・運営が可能な事業形態であり、オランダに進出する企業により最も頻繁に選択されます。現地法人を設立する日経企業も「BV」を採用するケースが多いです。
公開有限責任法人（Naamloze Vennotschap, NV）
「NV」は最低資本金が45,000ユーロである株式会社のことを指します。「NV」は「BV」と比べて設立・運営が複雑な事業形態であり、株式上場市場での取引も可能です。大規模な企業の設立に適しています。
会社名の決定
会社名は、ブランド・アイデンティティの重要な要素ですので、オランダで円滑な事業運営を行うためには会社名を慎重に決定する必要があります。オランダ商号法を考慮し、オランダ商工会議所（KvK）に受け入れられる適切な会社名の選択をするために以下のような要件を満たす必要があります。
- オランダ商号法に適合する
- オランダ語の発音や文化に合わせた名前を選ぶ
- オランダ商工会議所（KvK）に登録されいる他の会社名と重複しない
- 他社と混同されず、顧客にとって覚えやすく、独自性のある名前を選ぶ
- 選んだ会社名に対応するドメイン名の可用性を考慮する
会社設立に必要な書類および情報の準備
選択する事業形態により、会社設立に必要な書類および情報が異なりますが、非公開有限責任法人（Besloten Vennootschap, BV）の設立のためには、以下のようなものが必要となります。
- 会社の住所
- 設立公正証書（公証人によって作成される）
- オランダ商工会議所（KvK）への登録（公証人によって行われる）
- オランダ税務当局（Belastingdienst）への登録（公証人によって行われる）
オランダの商工会議所 (KvK) に会社を登録する
会社設立に必要な書類および情報が準備できましたらオランダ商工会議所（KvK）に会社を登録します。登録が完了すると、オランダでビジネスを行うために必要な番号である商工会議所番号（KvK-nummer）が発行されます。
オランダ税務当局（Belastingdienst）への登録
オランダでは、企業は法人所得税、付加価値税（VAT）など様々な税金を払う義務があります。商工会議所に登録した後、会社をオランダ税務当局（Belastingdienst）へも登録し、付加価値税登録番号（VAT番号）を取得する必要があります。オランダで円滑な事業運営を行うために税理に詳しい専門家に相談し、オランダの税金制度についてよく理解しておくことが必要です。
法人銀行口座の開設
自分のお金と会社のお金を分けて管理するために、会社専用の法人銀行口座を開設することが重要です。ビジネス銀行口座の開設により、会社の会計処理と納税手続きがスムーズになります。また、オランダで社会的に信用される企業となって円滑な経営を行う上でも法人銀行口座が必要となっています。
厳しい金融規制があるオランダでは、Single Euro Payments Area(SEPA)地域外にお住いの方はオランダの金融機関から口座を開設する必要があります。オランダでは外国人投資家がより迅速に取引を行うためにQuick Scan Dutch Business Bank Account というシステムが設立されています。ABN AMRO、ING、Rabobankの協力により生まれたこのシステムのおかげで、外国人投資家がオランダで容易に銀行口座を開設することができます。
注意
Netherlands Foreign Investment Agency (NFIA)やその他のファシリテーターの支援を受けていない起業家は、Quick Scanを利用することができませんので、ご希望の銀行に直接連絡し、法人口座の開設を申し込む必要があります。
オランダ政府の規制の遵守と維持
会社設立後、社会的に信用され、オランダでの事業拡大と成長を目指すためにオランダの法律に適応した経営体制を確立する必要があります。法律に基づいた帳簿作成や適正な税申告を行うことが極めて重要で、円滑な事業運営にとっても不可欠な要素であります。オランダに進出した当初は、オランダの規制に対応した事業運営に戸惑う企業や事業者が多く見られます。従って、進出当初は現地の法律に精通した税理士、会計士、弁護士やコンサルタントなどの力を借りることをお勧めします。
今回の記事では、オランダ会社設立のプロセスについて解説しました。複雑で時間がかかるオランダ会社設立プレセスをスムーズに進めるために専門家のコンサルティングを受けることをおすすめします。NGSコンサルティングでは、オランダで会社設立を目指している方からの幅広いご要望に丁寧にお応えしています。私たちにご相談いただければ、オランダ会社設立のプロセスにおいてあなたの期待に沿ったアプローチで最高のサービスを提供いたします。
